陽斗たちは、王国の戦乱と陰謀が激化する中、ひそかに動く謎の組織の影に気付き始めていた。先日の戦いで、組織のエージェントが一瞬、姿を現し、仲間の一人が窮地に陥った出来事が、今もなお彼らの心に深い不安を残していた。朝霧が漂う薄明かりの中、彼らは再び集合地点に集まり、次なる行動について慎重に議論を重ねていた。
「あのエージェント……どうしてこんなところに現れたんだ?」
ロレンスが剣を鞘に納めながら、険しい表情で問いかけた。
「間違いなく、組織の策略だ。彼らは、俺たちの動きを探っているに違いない」と、ミカエルが低い声で答える。
エリナは、杖を抱えながらも、先の戦いでの混乱を振り返り、憂いを帯びた眼差しで仲間たちを見渡した。
「私たちの中に、信頼できる者がどれだけいるのか……。あの出来事で、一時、私たちの絆に亀裂が入ったように感じたわ」
と、彼女は呟いたが、すぐに続けた。