異世界冒険者ギルドの日常 – 第2章:後編

「こ、ここで何が……!?」

「魔紋炉の臨界直前でした。ログは保存してあります。至急、王都本部へ報告を」

 ユウトが端的に告げると、局員たちは慌てて魔力伝声管へ走った。

 静かになった遺跡に、砂埃と達成感が漂う。

 ティリアが弦を撫でながらぽつりと呟く。

「私たち、悪くないチームみたいね」

「だろ? だからチーム名どおり、今日の定食は奢りで頼むぜ!」

 ガルドが豪快に笑い、リリィは「じゃあ私はデザート追加!」と拳を掲げる。

 ユウトはそんな三人を見回し、胸の奥で静かに噛みしめた。

 ――数字は裏切らない。だが数字を動かすのは、やはり人の力だ。

 遺跡から射し込む光に背を押されて、一行は地上への階段を上る。

 その先で待つのは報告書の山と、さらに大きな陰謀への道標。だが今は、仲間と分かち合う勝利の味を堪能しよう。

 ユウトは胸ポケットの万年筆を軽く叩き、笑顔で宣言した。

「日替わり定食隊、初任務完了――今日のレシピは“数字と友情のソテー”だ!」

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