夜の記憶 – 第6章

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エリカのアパートの窓の外は、冷たい夜の闇が広がっていた。田代と共に森で得たナイフを警察に提出し、新たな証拠が事件解明の糸口となることを祈るばかりだった。しかし、不安が消えることはなかった。

深夜、静まり返った部屋の中で、エリカは夢で見た祠や石碑の映像が頭の中をよぎる。その中で亜沙子の笑顔がちらつき、やがて不安げな表情に変わる。「助けて」と囁く声が耳に響いた気がして、エリカはハッと目を見開いた。

その時、玄関から微かな音が聞こえた。最初は風の音だと思ったが、次第に何者かがドアを開けようとしている音に変わっていく。

「誰……?」

エリカはバッグから携帯電話を取り出し、田代に電話をかけようとした。しかし、電話のコール音が響く前にドアが開き、黒い影が部屋に入ってきた。

「お前が余計なことを調べたせいで……」