アキラはそう呟きながら、押し寄せる罪の意識と、真実を解き明かしたいという衝動に挟まれている自分を自覚する。文集の最後に記された悲痛な叫びは、あまりにも直接的で、それはアキラ自身が見ないふりをしてきた過去そのものだ。
「ならば急ごう。ミツルが生きているなら、今まさに復讐を遂行している最中か、あるいは最終段階かもしれない。これ以上被害者が増えないようにするためにもな。」
「わかった。ユキノにもこの文集のことを伝えてみる。何か手がかりになるかもしれない。」
そう言い合ったあと、二人は短い沈黙を共有する。外では雨が落ち続け、薄闇が街を包み始めている。アキラは窓の外の景色をぼんやりと見ながら、背筋を這うような寒気を感じていた。赤い封筒に導かれるかたちで、ミツルの原点にたどり着いたものの、その行き先はなお不確定だ。この文集に記された“復讐”という言葉が、どこまで彼の現在に繋がっているのだろうか。疑問は尽きないが、せめてこの手掛かりを糸口に、真相を一歩でも掴みたい。そんな思いだけが、アキラを辛うじて前へ進めていた。


















