ニューロネットの夜明け – 第4章:地下組織との接触|後編

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インフォリベレーションのアジトは、思いのほか広く雑多な雰囲気をまとっていた。廃工場を改造したらしく、鉄骨の梁や錆びついた配管のむき出しの部分が随所に残り、天井近くには無数のケーブルが這い回っている。その一角に集まった十数名のメンバーは、いずれも警戒の色を隠さないままエリカを迎えた。人相の険しい者や、逆にひどく冷静そうな人物など、多種多様な雰囲気が入り混じっている。

エリカが内部へ踏み込んだ瞬間、サイモンがさっと手を上げ、周囲の会話を一時中断させた。

「よく来てくれた。思ったより早かったな」

「別に喜んで来たわけじゃないの。これ以上一人で動くには限界があると思っただけ」

エリカはやや挑戦的な調子で答える。先刻、倉庫での接触以来、サイモンと再度会うのはこれが初めてだった。彼は口元にうっすら笑みを浮かべる。

「さっそく作戦会議をしよう。メンバーも君を歓迎している……と言いたいところだが、それぞれがいろんな思惑を抱えてるから、まずはお互いの条件を確認しておく必要がある」

サイモンが促すと、円卓代わりに使われている鉄板テーブルを囲むようにメンバーが集まり出す。ここが彼らの“中枢”というわけではなさそうだが、大事な話し合いを行うには十分なスペースだ。

エリカは軽く周囲を見回し、静かに言葉を継いだ。

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