夜明けのペンダント – 第2章: 第1話

「儀式を執り行う者たちは、顔を黒い覆面で隠し、まるで死人のように動かなかった。祭壇を囲むと、祖先の遺影がずらりと並び、赤い蝋がぼとぼとと床へ落ちていたんです」

玲はうなずき、羊皮紙の写しを佳苗へ示す。

「この名前がリストの一部です。当時の参加者や関係者の名簿と照合できれば、組織の痕跡を洗い出せるはずです」

佳苗は手を震わせながら、書き付けた古い日記を差し出した。そこには儀式後の悲鳴と、離れた小道で人の呻き声を聞いたという記録がある。

「どうか、この記録をお役立てください」

玲は日記を丁寧に受け取り、バッグへとしまった。外では、夕焼けに染まる町並みが静かに揺れている。

「次は、儀式が行われたとされる旧松永邸の地下室に向かいます」

そう告げると、佳苗は深い息をつき、窓辺の障子をそっと閉めた。灯りは柔らかくとも、その影は深い闇を映し出していた。

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