夜明けのペンダント – 第4章: 第1話

「撮れた。音声も映像も確保した。これがあれば、組織の連中を追い詰められる」

だが、そのとき背後で床が軋む音がした。玲は機敏に身を翻し、小走りに倉庫の出口へと駆け出す。高橋も続き、二人は窓枠を乗り越えて外へ飛び出した。夜の冷気が二人を包む。

「くそっ!」

白井の怒声が倉庫の奥から響き、重い足音が追いかけてくる。玲は舗装路へと飛び出すと、立ち並ぶ倉庫の影を駆け抜け、高橋とともに暗い路地へ姿を消した。

息を整えながら、玲はレコーダーを胸元で確認する。暗闇に包まれた倉庫街の灯りが遠ざかる中、二人は無言で北へ歩みを進めた。波風に混じるかすかな潮の香りが、次の調査地点への導きのように二人の背を押していた。

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