第1章: 前編|後編 第2章: 前編|後編 第3章: 前編|後編 第4章: 前編|後編
第5章: 前編|後編 第6章: 前編|後編 第7章: 前編|後編 第8章: 前編|後編
第9章: 前編|後編
――「次の決算は“世界樹祭”だ」
王都での表彰式から一ヶ月。
冒険者ギルドの年度末を締めくくる大イベント〈世界樹祭〉の準備のため、各地のギルド支部長が大陸中央の都市セレシアへ招集された。そこには“数字で魔法を回す男”として、臨時ながら私――ユウトも出席を命じられていた。
早朝のトリス支部。
カウンターB番で書類を束ねていると、風切音とともに空色の封書が投函口へ滑り込む。封蝋には世界樹をかたどった金の葉。
ギルド本部告示
世界樹祭財務局臨時監査員として、
受付係 深山ユウト 殿を任命する。
ついては大陸中央都市セレシアへ即日発。
期日:今月末決算締切日まで。
「また数字で世界を救えってことかな……」
独りごちたとき、背中から豪快な手が肩を叩く。
「おう、面白そうな呼び出しじゃねぇか!」