星降る夜の奇跡 – 最終話

夜の風が少しだけ涼しさを増してきたところで、二人はそっと手を取り合う。手のぬくもりと、互いの存在があれば、どんな道でも進んでいけるという確信めいた感覚が胸に広がる。ユウタは星を見上げながら、ぽつりと言った。

「星降る夜に起きたあの小さな奇跡は、やっぱり俺たちにとって一番大きなことだったのかもしれない。ここから始まる未来には、どれだけの希望が詰まってるんだろうって、考えるだけでわくわくするんだ」

サヤも静かに頷き、目を閉じるようにして夜空を仰ぐ。遠い星の光が、まるで自分たちを祝福してくれているかのように感じられた。都会を逃げるように飛び出してきた自分が、今ではこの土地で笑い、夢を語り、誰かの役に立とうとしている。そんな自分自身の成長や、ユウタと共に歩んできた日々を思い返すと、胸が温かく満たされていくのを覚えた。

彼らがいるのは、山奥の静かな村。かつては自分に無縁だと思っていたその場所で、サヤは確かに生き生きと新しい人生を切り開きはじめている。ユウタもまた、自分の夢を再び追いかける強い意志を手に入れた。二人の想いが重なり合い、お互いを支え合って暮らしていく未来。それは星空のように澄んでいて、どこまでも広がっていくように思えた。

夏の夜風にそよぐ縁側から見える星空は、一段と美しく光り輝いている。時間の流れすら忘れさせるような夜の静寂の中、サヤとユウタはその星空に無数の希望を重ね、手をつないだまま静かに目を細めていた。

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