ニューロネットの夜明け – 最終章:夜明け|前編

第1章:前編後編 第2章:前編後編 第3章:前編後編 第4章:前編後編
第5章:前編後編 第6章:前編後編 第7章:前編後編 最終章:前編|後編

ニューロチップが散らす火花とともに、意識統合を目指した「プロジェクト・シナプス」は静かに崩れ去った。翌朝、世界中のニュースネットワークやSNSでは、政府とヴァル・セキュリティ、さらに研究機関が結託して大規模な人体実験を行っていた――という衝撃的な告発が一斉に報じられる。様々な角度から内部告発が相次ぎ、リークされた資料や研究所の映像がリアルタイムで拡散された結果、計画の“本質”が浮き彫りになったのだ。

「国家レベルでの意識共有実験」というスキャンダラスな見出しが飛び交うと、世論は一気に混乱へと突き進んだ。あるニュース番組では「これが本当ならば、プライバシーや個人の尊厳が根底から揺らぐ重大事態だ」と専門家が声を荒らげ、別の情報番組では「しかし技術面を考慮すれば、もしかすると人類の進化だったかもしれない」という擁護的見解も示される。様々な意見が渦巻く中、政府とヴァル・セキュリティ双方は当初「調査中」としかコメントを出せず、責任の所在をあいまいにしようとしているようにも見えた。

だが、内部からの追加リークが止まらない。研究所の職員や企業の下請けスタッフが相次いで告発に乗り出し、被験者に対する強制的な実験や精神的な被害がいかに隠蔽されていたかを証言する。かつてヴァル・セキュリティの技術責任者を名乗る人物までもがオンライン会見を開き、「政府と企業が共謀し、人間の意識をコントロールできるシステムを本気で開発していた」と暴露した。

こうした動きに世論は瞬く間に過熱する。

「こんな危険な研究が進んでいたなんて、あり得ない!」

「ニューロチップは便利だけど、そこまで人間の思考に踏み込むのは間違いだ!」

「そもそも自由意志がなくなったら、人間はどうなるの?」