赤い封筒 – 第9話

 ユキノは唇を噛みながら、テーブルにその紙を広げる。シンイチも覗き込み、考え込むように眉根を寄せる。

「もしかすると、犯人ではない誰かが情報をリークしている可能性もある。ミツル本人と対立している共犯者か、あるいはミツルを知る別の人物が、おまえらに知らせようとしているとか……。」

「そんな回りくどい手段を取らずに、直接警察に通報すればいいのに……」

 アキラは考え込むが、答えは見つからない。ここまでの状況だけでも、赤い封筒を投函している者がミツル本人か、あるいはミツルの詩を使っているだけの全く別の存在なのかを確定できずにいる。シンイチが「追い詰める寸前で逃げられた」と言っていたように、手がかりが掴めそうになるたびに、するりと手元をすり抜けていく感覚がある。

「とにかく、俺たちは引き続き張り込みを続行する。今度こそ見失わないよう人員も増やす。郵便局周辺だけでなく、ほかのポストの近くも要注意だ。」

「うん。確かに、今のところ投函はあの郵便局だけに限られてはいないかもしれない。」

 アキラは深く息を吐き出し、テーブルの上の写真や紙片を見つめた。頭の中で状況を整理しようと試みるが、謎は増える一方で、精神的な疲弊が蓄積しているのを感じる。

タイトルとURLをコピーしました