第1章:前編|後編 第2章:前編|後編 第3章:前編|後編 第4章:前編|後編
埃の舞う薄暗い倉庫のアジトで、エリカは相変わらず幾つものモニターと向き合っていた。ヴァル・セキュリティや政府系研究所の情報を精査するなか、彼女はある奇妙なアクセス履歴を見つけていた。ネットワーク上に現れた「インフォリベレーション」という名の謎のグループから、暗号化されたメッセージが届いていたのだ。それはエリカの発信源を正確に把握しているかのように思われた。
「ミア、このアドレスに見覚えある?」
エリカはモニターに映し出されたコードの羅列を指さしながらミアに問いかける。ミアは首をかしげ、端末を操作して調べ始める。
「うーん、これは地下組織か何かのサーバーっぽいな。普通のルーティングじゃ辿れない場所だね。どうする? 下手に手を出すと逆探知されるかもしれないよ」
「でも、わざわざ接触してくるってことは、私たちの行動を把握している可能性が高い。ひとまず受信したデータを解析してみよう」