第1章:前編|後編 第2章:前編|後編 第3章:前編|後編 第4章:前編|後編
第5章:前編|後編 第6章:前編|後編 第7章:前編|後編
インフォリベレーションのアジトは、いつにも増して緊張感に包まれていた。コンクリート打ちっぱなしの壁に無数の配線や大型モニターが貼り付けられ、まるで作戦司令室さながらの様相である。テーブルを囲むメンバーたちの顔には、今までにない覚悟と焦燥が浮かんでいた。
「よし、全員揃ったな」
サイモンが周囲を見回し、声を落ち着かせながら切り出す。奥の方ではミアが端末を操作しつつ、データの最終チェックをしている姿が見える。エリカも腕を組んで立ち、モニターに映し出された研究所の見取り図に目を走らせていた。
「今回の作戦では、少数精鋭で研究所に突入する。周囲の警備を撹乱するため、外部から残りのメンバーがサポートを行う。主にセキュリティ網の妨害や、ドローンへのジャミング攻撃などだ。エリカ、ミア、それから俺の3人が先行して施設内の中枢を叩く」
サイモンはそう言って、タブレットの画面を操作する。すると、研究所の外観から内部フロアまでの詳細な構造が立体映像で浮かび上がり、各所に赤いマーカーが点滅して表示される。
「見てのとおり、外周部にはフェンスや警備ロボット、さらに監視ドローンが巡回している。侵入できるポイントは数ヵ所あるが、いずれも高度なセンサーが配置されていて、ステルスで近づくのは至難の業だ」
サイモンが説明する横で、ミアが補足する。