和菓子の灯がともるとき – 01月01日 後編

「お父さん、疲れたら言ってね。無理しないでよ」と声をかけると、父は「まだまだ大丈夫。もっと歩きたいよ」と冗談交じりに笑う。亮も「じゃあ、参道の屋台でも見ていきましょうか」と提案し、母は「それいいわね。帰りにちょっと何か食べて帰りましょう」と上機嫌だ。やわらかな陽射しが境内を包み込み、まるでこれからの未来を明るく照らしているかのようだった。

初詣を終え、一年の最初の日が始まったばかりだというのに、いくつもの新しい道筋が見えてきた。由香は、この町でやれることはきっとまだまだあると感じている。父の健康も回復へ向かっているし、店の再開に向けた動きもゆっくりと進められそうだ。都会に戻って仕事を続けるにしても、リモートワークなど新しい働き方が広がっている時代だ。地元と都会をつなげながら、自分も、夏目堂も、そしてこの町も、もっと成長できるかもしれない。それらの思いを胸に、由香は笑顔で神社の境内を後にした。

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