和菓子の灯がともるとき – 01月03日 前編

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朝食の席で、父・洋一が口を開いたのは、正月三が日最後の1月3日のことだった。まだ寒さの残る朝、由香と母・祥子が食卓で今日の予定について話していると、父は少し遠慮がちに言葉を選びながら切り出した。

「病院の医者に相談したら、次の検査結果次第だが、思ったよりも経過はいいらしいんだ。もちろん無理は禁物だけど、そろそろ店を再開するめどを立てようかなって思ってる」

その言葉に、由香と祥子は同時に顔を上げる。思いもしなかった父の前向きな宣言に、母は「え、いいの?」と戸惑いつつも、どこか嬉しそうに笑みをこぼした。由香も、「お父さん、本当に大丈夫なの?」と心配と安堵の入り混じった表情を浮かべる。

父は、しばらく黙ってから静かに続けた。

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