和菓子の灯がともるとき – 01月03日 後編

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その日の昼下がり、幼馴染の亮が家を訪ねてくる。父の表情を見て、「顔色、良くなったんじゃないですか?」と素直に喜びを表す。由香は亮に向き合い、ちょっと笑いながら切り出した。

「私、やっぱり東京に一度戻ることになるかも。でも、時々は地元にも帰って来て、父の店を手伝うし、あなたの新しいプロジェクトにもできる範囲で協力する気でいる。ごめんね、中途半端かもしれないけど」

亮は一瞬寂しそうな顔をしたが、すぐに柔らかい笑みを浮かべて答えた。

「いいんだよ。地元に完全に戻ってきてくれるのも嬉しいけど、都会で働きながらこっちも手伝うっていうのは、今の時代らしいし、由香らしい生き方だと思う。おじさんの和菓子をもっと広めるプランもあるし、来年以降は大掛かりなイベントもやってみたいんだ。だから、離れていても力を貸してくれたら心強い」

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